寝汗をかいたときに思い出すこと
気持ちわるくなって列車を降りた。
帰りの車内は混んでいて座ることができない。
人が吐き出す息と、肉の熱で熱気がこもっている。
そんな気がして不快感が増した。
乗り物酔いや二日酔いじゃない。
降りた駅のホームで座り込んでしまった。
不快感は消えず、ヘソの右下が鈍く痛む。
次の列車に乗り、駅から家に帰る頃には痛みが強くなってきた。
普通の腹痛じゃない。
病院に連絡して説明すると、朝まで待ってから来院することに。
朝までとにかく待つしかないらしい…
鈍く、でも確かに感じる痛みで眠れない。
仕方がないから、自分の症状から原因を調べる。
痛くて汗がにじむ。
時間がいつもよりゆっくり進む。
目覚めた鳥が鳴き出して、窓から光が差し込んでも不愉快な朝。
汗で汚れた体を起こして病院に向かう。
医師が軽く触診して診断する。
結果を聞いて思う。
「うん、わかってた」
とにかく痛みから解放さたい。
何でもいいから切ってほしい。
悪化寸前らしいので、すぐ手術することが決まる。
血液検査などの準備が始まる。
着替えてベッドに寝ると、そのまま手術室へ。
背中に刺された麻酔針に悶絶したあと、それ以上に痛いことはなかった。
透明なマスクを着けて10秒、数え切らないうちに意識は切断された。